組織風土の特徴を掴む その71

良いリーダーの出現を組織は望みます。

そこに描いている姿は、説得力があり、部下のモチベーションを高め、結果にコミットするのが一般的です。

部下も同じ様に上司を見ているのですが、部下目線ですと、部下思いでいつも自分を見ていてくれて、誰よりも仕事が出来て頼りになる存在、そんな姿を描いています。

しかし・・・

これは神話的なお話だと思います。

学校教育の中で自然にクラスのリーダーは誰よりも模範的であるとしてきた弊害があります。

部下もそのような模範的な人でなければ、素直に従いづらいとも思ってしまいます。

リーダーの条件とは何なのでしょうか?

ある会社を事例にしましょう。

その会社は、社員に改善を求めていました。

日々の業務の中で改善を進めていき、効率的に業務を進めていきたいと思っていたのです。

社長の号令のもとスタートしました。

最初は半信半疑な社員もどこからともなく、いくつかの意見が出て来ました。

しかし、何ヶ月かした頃には改善意見が全く出てこなくなりました。

なぜでしょうか?

それは会社側の姿勢の悪さも原因でしたが、本当の意味でのリーダーの欠如が原因でした。

それはどういう事だったのでしょうか?

いくつかの改善意見はとても的を得ていて、すぐにでも改善したい事柄でした。

冒頭にも申し上げました、この会社は「社員に改善を求めている」のでした。

社員は意見を上げれば後は会社がやってくれると思っていたのです。

これでは最初から齟齬が出て当たり前です。

意見は提出されたものの、一向に改善が進みませんから、当然のごとく、社員は意見を出さなくなります。

会社側も意見が出てきたものの、なぜ一向に改善が進まないのか?首をひねります。

では各部署のリーダーは何をしていたのでしょうか?

自分の部署内に「改善提案を求む」はしっかりと会社の指示通り部下に伝えていました。

しかし、誰もが社長から言われた事を実行する「指示待ち」リーダーだったのです。

ある意味、高度成長時代のリーダーはこれでも立ち振る舞う事が出来ました。

しかし今の変化が激しく、情報が錯綜する社会ではこれではリーダーは務まりません。

この会社の動きの悪さはなるべくしてなっていたのです。

さて、この場合のリーダーの振る舞いとして正しいのはどういったものでしょうか?

まずは、自分の腹落ちをするべきでした。

そして、社長の思い描く未来を一緒に想像する。同じになるぐらいに語り合う。

そんな姿勢が必要だったのです。

そういった意味では、社長に対する質問のスキルが高くなければなりません。

そして、最後までやりきる情熱であると思います。

言動に熱さは無くても良いのですが、実直に徹底する姿勢が必要です。

ボタンの掛け違いはどこの企業でも起こっている事です。

その会社毎に必要となるリーダー像は違いますから、経営側でそういった人物像をしっかりと定め、リーダーを育成していかなければなりませんね。