教科書に載っていない良い職場とは その36 【礼】

丁重で上品な物腰が日本人の特性であると思います。

しばしば、外国の心理学の研究が日本人には合っていない感じを覚えるのは私だけでしょうか?

例えば、【礼】です。

他人の気持ちをおもんばかるあまり、過度な対応がある事も事実です。

「【礼】は仁と謙譲を動機として生まれ、他人の感受性に対するやさしい感情によって始動するのだから、いつも優雅な同情心として現れる」(武士道 新渡戸稲造)

贈り物をする際に欧米人は「これはすばらしい品物なので、あなたに贈ります」と言います。

ところが日本人は「あなたに見合う品物はありません。ですから私の好意のしるしとして受け取っていただけないでしょうか?」となるのです。

この二つの考え方を並べてみると最終的には同じなのですが、欧米人は贈り物の素材について説明しており、日本人は贈るに至った気持ちを言っているに過ぎないと思います。

しかし二つの事例を並べて見ると違いが明確であると言わざるを得ません。

欧米人にとっては、日本人の対応は時に滑稽に映るのかもしれません。

究極の質問では、我々日本人はどちらを選択するでしょうか?

「真実を語る事と、礼儀正しくある事のどちらが重要か」

迷わず答えられる日本人は少ないはずです。

それは我々の【礼】という徳に原因があります。

どちらが正しいと言うつもりはありません。

しかし、大切にしなければならない事は不変の様な気がします。

そして、それが組織でもアイデンティティーを生み出します。

【礼】は良い職場には必要な要素となると思います。