教科書に載っていない良い職場とは その69【むさぼらない】

人はほんの少しでも欲張る心を抱くと強い心も弱くなり、知恵も濁り、恩愛も残酷なものとなって清らかな心も汚れてしまい、一生の品格を壊してしまいます。

だから昔の人は、【むさぼらない】という事を宝としました。

昔の中国でこのような逸話があります。

大きな宝石が採れたのでこれを領主に献上しようという事になりました。

しかし領主はこのように言ったのです。

「私は貪らないという事を宝としています。あなたは宝石を宝としています。もし私に宝石を渡せば両方とも宝を失ってしまいます。それぞれがそのまま宝を持っていた方が良いと思います。」

利欲のうずまく昔の中国社会ですばらしい高潔な態度だと思います。

その後の後日談もすばらしいんです。

困った村人は領主に泣きつきます。

「このままこのような宝石を持っていても盗賊に狙われるだけです。助けて下さい。」

領主は「では私の側にしばらく暮らしなさい。この宝石を出来るだけ高く売れるように協力しましょう」

やがて、宝石は高く売れて、村人は領主の側で金持ちとなり、事業を興し発展させてから、村に帰っていったとの事です。

我々の生活の中にも誘惑はあふれています。

しかし、わずかな欲が人間の品位を落としてしまうのでしょう。

たった一個の宝石を受け取る行為が、次々と大切なものを奪って行く結果となり、一生の品位が台無しになってしまう事を説いた物語は現代にも大きな教訓とする事が出来るはずです。

良い職場にも【貪(むさぼ)らない】という精神が必要です。